江戸時代から伝わる伝統菓子「金花糖」とは
現代ではあまり馴染みのない長崎の伝統菓子「金花糖(きんかとう)」。初めて聞いた方も多いかもしれませんが、金花糖とは、水と砂糖を煮つめ、専用の型に流し着色した砂糖菓子のこと。固めた砂糖は実に薄く、中は空洞になっています。そのため、非常に壊れやすく、経験を積んだ熟練の職人にしか作ることができない特別なお菓子。近年では“幻の駄菓子”といわれています。また高温や湿気に弱いので、空気が乾燥する晴れた日にしか作ることができず、その日の気温や湿度に応じて煮つめ具合も変えなければなりません。
先々代から受け継いだ型で作る幻の駄菓子
昭和14年の創業から“まちの和菓子屋さん”として親しまれ、市内に多くのファンをもつ「和菓子舗 梶山」。特別な道具と高い技術を要することから、製造・販売する店舗が減っている金花糖ですが、梶山は全国でも有数の金花糖販売店です。3代目店主が使う瓦製の型は、先々代から使っている昭和初期に製造されたもの。上に反った尻尾が鯛の躍動感を感じさせる“祝鯛”の型を使い、本物さながらの金花糖鯛を作っています。型を一晩水に浸すことから始まり、型に流して着色するまでに1週間。手間も時間も要するお菓子ですが、伝統を後世に残したいとの思いで作り続けています。
鯛の金花糖はお祝いの席を華やかに飾ります
江戸時代から、長崎のお祝いの席には「鯛の金花糖」がつきものでした。この写真は全長約30cmの特大サイズ。お祝いの場で飾ると存在感があり、ゲストの目を引く華やかさがあります。結婚式の贈り物や出産のお祝いをはじめ、開店祝いや新築祝いなどに利用しても喜ばれること間違いなし。ちょっと変わった贈り物をしたいという方にはおすすめです。素材は砂糖だけなので、飾った後は木槌などで割って、そのまま飴のように食べたり、料理やお菓子に使うこともできます。
季節の移ろいと故郷の味を大切にした和菓子店
昭和14年創業、佐世保で愛されて70有余年の「和菓子舗 梶山」。現在は3代目と4代目が力を合わせ、四季の移ろいを感じさせる季節の和菓子、ふるさと長崎に伝わる菓子づくりに力を入れています。地元の商店街にある、決して大きくはない和菓子屋さんですが、一つひとつ心を込めて手作業で作っています。佐世保の定番みやげの一つである「ゆずもなか」をはじめ、端午の節句の「鯉菓子」や桃の節句の「桃かすてら」も、毎年たくさんの注文が来るほど大人気。変わらぬ味と真心で、佐世保で愛され続けている和菓子屋さんです。