春の風物詩、肥前えむかえ繭玉まつり
毎年3月~4月に行われている「肥前えむかえ繭玉まつり」は、もともと町おこしの一環として地元の女性たちのアイデアから生まれました。今では恒例の春の行事となり、期間中、商店街の店先や街道沿いが約4,000個のまゆ玉で彩られ、春風に揺れる愛らしい姿が散策の人々の目を楽しませています。また、まゆ玉作り体験なども行われ、縁起の良い飾りを手作りする観光客の方も多く見られます。
まゆ玉は、ひとつひとつが手作りです
お正月から春にかけて飾られる江迎のまゆ玉は、そのひとつひとつが地元の女性の手で作られています。発泡スチロールの玉に切り込みを入れ、表面にちりめんを差し込んでいく細かな作業は、秋ごろから本格的に制作がスタートします。素材が軽いので吊り下げることでゆらゆら揺れる姿が愛らしく、縁起の良い和の飾りとして楽しまれています。
呉服店店主として、和の美しさを伝えたい
まゆ玉飾りを作っているところは町内に数カ所あり、中村呉服店もその中のひとつです。店内の一角にまゆ玉を作る作業スペースがあり、春の祭りのためだけでなく、1年中まゆ玉を作ったり、訪れる人に作り方を教えたりしています。「和の美しさってあるでしょう?時代がどれだけ変わっても、良いものはきっと変わらない。和服もまゆ玉も、そういうものなんです。私は呉服店店主として、日本の美しい手仕事を伝えていきたいんですよ」藍の割烹着に身を包み、畳の上で正座をし、火鉢の前でそう語る中村さんの笑顔はとても優しく、深く印象に残ります。
創業65年の呉服店よりお届けします
平戸往還の宿場町として栄えた歴史あるまち、江迎町。風情ある町並みの中で65年の歳月を刻んできた中村呉服店は、反物や着物だけでなく、絣を用いた洋服や小物なども置いていて、和の美しさ、品の良さを伝えてきたお店です。店内は天井にまゆ玉が飾られ、まゆ玉作りの体験もできるようになっています。最近はまゆ玉目当てのお客さまが多く、自分で手作りしたり、お祝いやお礼、お見舞いなどの贈り物として繭玉飾りを選ぶ方が増えて来たのだとか。昔ながらの女性の手仕事を、絣やちりめんなどの和の布地を通して伝え続けています。